本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2025/09/16

超偏極13C NMRによる生細胞内代謝のリアルタイム検出

論文タイトル
Real-Time Metabolic Detection in Living Cells Using Hyperpolarized 13C NMR
論文タイトル(訳)
超偏極13C NMRによる生細胞内代謝のリアルタイム検出
DOI
10.3791/68539-v
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (221), e68539
著者名(敬称略)
浦 朋人 高草木 洋一 他
所属
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 量子生命スピングループ 量子超偏極 MRI 研究チーム
著者からのひと言
超偏極とは、NMR/MRI信号を飛躍的に高感度化する技術で、生体内における代謝物濃度や環境の変化の計測に応用されています。今回の論文では、生細胞を安定に培養しながらNMRを計測できるシステムを構築し、複数回にわたる酵素反応測定を実現しました。この手法によって、細胞の動的な代謝変化や代謝適応機構に迫ることが期待され、今後は薬剤応答や疾患研究にも展開できると考えられます。

抄訳

本研究では、超偏極13C NMRを用いて生細胞内の代謝変化をリアルタイムに検出する方法を確立した。従来のNMR測定は感度の制約から生細胞での応用が困難であったが、超偏極化技術を組み合わせることで、代謝基質や生成物の濃度変化を非破壊的に時系列で追跡できるようになった。本論文では、超偏極13C標識基質を細胞に導入し、その代謝産物をNMRで測定するプロトコールを詳細に解説している。本手法は、がんや代謝疾患研究に加え、薬剤応答やストレス応答といった動的な代謝変化の評価にも応用が期待される。生細胞を対象とした本測定系は、基礎研究から臨床応用に至るまで幅広い発展に寄与する新たな代謝解析手法を提供するものである。

論文掲載ページへ