抄訳
本研究は、頭蓋内孤立性線維性腫瘍(SFT)と髄膜腫の鑑別診断におけるMRI画像所見の有用性を評価した後ろ向き研究である。病理学的に確認されたSFT患者13例と髄膜腫患者27例を対象とし、造影前T1強調画像での信号強度、ADC値、その他の画像所見を比較検討した。
主要な結果として、大脳皮質と比較したT1強調画像での高信号はSFTで有意に高頻度であった(76.9% vs 18.5%、P=0.0010)。また、標準化T1強調画像値とADC値は、ともにSFTで髄膜腫より有意に高値を示した。SFTにおいてのみ、T1強調画像値とADC値の間に有意な逆相関が認められた。二項ロジスティック回帰分析により、これらの画像パラメータの組み合わせは中等度の診断精度(交差検証スコア0.83)を示した。
本研究により、造影前T1強調画像での高信号が頭蓋内SFTと髄膜腫の鑑別における有用な特徴であることが明らかになり、正規化T1強調画像値とADC値の組み合わせが術前診断に役立つ可能性が示された。