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2025/09/24

Pseudomonas migulaeの低温ストレス条件下での芳香族化合物分解過程における遺伝子発現挙動のプロファイリング

論文タイトル
Transcriptomic profiling of Pseudomonas migulae revealed gene regulatory properties during biodegradation of aromatic hydrocarbons under cold stress
論文タイトル(訳)
Pseudomonas migulaeの低温ストレス条件下での芳香族化合物分解過程における遺伝子発現挙動のプロファイリング
DOI
10.1099/mgen.0.001470
ジャーナル名
Microbial Genomics
巻号
Microbial Genomics Vol. 11 Issue 9 (2025)
著者名(敬称略)
柳田 將貴 守 次朗 他
所属
横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科 微生物生態学研究室
著者からのひと言
Pseudomonas属細菌は様々な環境から見つかり、その優れた低温ストレス適応能力についても頻繁に報告されていますが、意外にも、低温に適応する詳細な機構については過去に報告がありませんでした。本学修士課程の学生が奮闘し、その一端を解き明かしました。ご興味のある方は、ぜひご一読ください。

抄訳

Pseudomonas属細菌においては、芳香族の環境汚染物質の分解能力や、低温を含む多様な環境ストレスへの優れた適応能力を有するものがしばしば報告されている。本研究では、環境汚染物質のp-ヒドロキシ安息香酸(PHBA)を増殖の栄養源として利用でき、なおかつ低温条件下(10˚C)で活発に生育可能な新規の細菌株P. migulae HY-2株をモデルとして用いて、低温ストレス条件下での芳香族炭化水素の分解過程における遺伝子調節機構について調査を行った。HY-2株のトランスクリプトーム解析の結果、低温条件下では複数種のシャペロンの発現上昇によりタンパク質の恒常性が維持され、さらに外来ポリアミンの蓄積に伴うバイオフィルム形成が誘導される一方、PHBAの分解に関わる遺伝子群の発現はほとんど影響を受けないことがわかった。本成果は、細菌を用いた汚染環境の修復技術におけるPseudomonas属細菌の有用性について、新たな知見を与えるものである。

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