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2025/10/16

エボラウイルスとマールブルクウイルスのヌクレオカプシド形成に共通するターゲットを発見—新たな抗ウイルス薬開発の可能性

論文タイトル
Molecular insights into nucleocapsid assembly and transport in Marburg and Ebola viruses
論文タイトル(訳)
エボラウイルスとマールブルクウイルスのヌクレオカプシド形成に共通するターゲットを発見—新たな抗ウイルス薬開発の可能性
DOI
10.1128/mbio.01557-25
ジャーナル名
mBio
巻号
mBio Ahead of Print
著者名(敬称略)
高松 由基 他
所属
長崎大学 熱帯医学研究所 ウイルス学分野
著者からのひと言
先進のライブセルイメージング顕微鏡解析により、エボラウイルスとマールブルクウイルスの共通するヌクレオカプシド形成メカニズムの一端を解明しました。特に、両ウイルスのヌクレオカプシドに会合するウイルスタンパク質VP30の共通モチーフを明らかにしたことで、このモチーフを標的とした新たな治療薬の開発が期待されます。

抄訳

エボラウイルス(EBOV)およびマールブルクウイルス(MARV)はフィロウイルス科に属し、ヒトを含む霊長類に致死的な出血熱を引き起こします。近年も中央アフリカや西アフリカでアウトブレイクを起こしていますが、これらウイルスに対する治療法は十分に整備されていません。
フィロウイルスのヌクレオカプシドは螺旋状のゲノムRNA-ウイルスタンパク質複合体で、ゲノムRNAの転写・複製を担います。本研究では、先進のライブセルイメージング技術を用いて、EBOVとMARVのヌクレオカプシド形成に関わる分子機構を解明しました。転写制御因子として知られるウイルスタンパク質VP30は、両ウイルス間で入れ替えてもヌクレオカプシドとともに機能し、転写・複製活性を発揮することがわかりました。
また、両ウイルスのNPタンパク質のC末端に存在するPPxPxYモチーフが、NP-VP30間の相互作用に不可欠であること、さらにVP30のヌクレオカプシドへの会合にも重要であることを明らかにしました。このモチーフはフィロウイルスで保存されているため、新たな抗ウイルス薬開発の標的となることが示唆されます。
本研究成果は、フィロウイルスのヌクレオカプシド形成機構の理解を深める重要な知見となるとともに、フィロウイルス感染症の新たな治療戦略の開発に寄与するものとなります。

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