抄訳
ランタノイドにおける4f電子の異方的な空間分布は、磁性から量子現象に至るまで、さまざまな材料特性を支配する上で重要な役割を担っている。しかし、その顕著な異方性と微弱な信号ゆえに、4f電子の可視化は長らく大きな課題とされてきた。本研究では、高エネルギーX線回折と独自に開発した価電子密度解析を組み合わせた革新的アプローチを導入することで、パイロクロア酸化物中における4f電子分布の直接観測を実現した。この成果は、4f電子の本質的な性質を明らかにするだけでなく、幅広い物質系における4f電子の役割を探求する新たな道を開き、材料科学の革新へとつながるものである。