抄訳
傍神経節腫(PGL)は全身に発生し、どの部位に発生しても同一の疾患として扱われているが、頭頸部傍神経節腫(HNPGL)とその他の部位のPGL(PGLO)では、自律神経系との関連、機能性、遺伝学的背景、解剖学的発生位置、転移リスクが異なるため、治療戦略に大きな違いがある。本総説では近年の大規模コホートや遺伝学的研究を整理し、HNPGLでは手術切除が基本となるものの、局所制御と神経機能温存を重視し、症例ごとに経過観察や放射線治療を選択し得る一方、PGLOは機能性腫瘍・転移リスクを踏まえた外科切除と全身治療が中心となることを示した。PGLを単一疾患として扱うのではなく、発生部位や病勢進行リスクに応じた診断・治療アルゴリズムを提案し、PGLに対する治療の最適化を通じて長期予後の改善およびサーベイランスの適正化に資する視点を提示している。