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2025/12/10

HCV IRES 依存的翻訳における eIF3 の役割の構造基盤

論文タイトル
Structural insights into the role of eIF3 in translation mediated by the HCV IRES
論文タイトル(訳)
HCV IRES 依存的翻訳における eIF3 の役割の構造基盤
DOI
10.1073/pnas.2505538122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.49 e2505538122
著者名(敬称略)
岩崎 わかな 伊藤 拓宏 他
所属
理化学研究所(理研)生命医科学研究センター 翻訳構造解析研究チーム

抄訳

RNAウイルスや一部のヒト遺伝子は、キャップ非依存的に翻訳を開始する内部リボソーム侵入部位IRESを持つ。本研究では、C型肝炎ウイルス(HCV)のIRESがリボソームと翻訳開始因子eIF3に同時結合した開始から伸長の段階の複数のクライオ電子顕微鏡構造を決定した。eIF3コアはIRESのIIIbに強く結合してリボソーム上から押し出される一方、架橋質量分析によりeIF3の非コアサブユニットはキャップ依存開始複合体と同様のリボソーム上の部位に留まり得ることが分かった。このeIF3の配置は、宿主mRNAとの競合を克服しウイルスの翻訳を促進する機構を説明するものである。さらに、翻訳伸長中にeIF3c のN末端ドメインが60Sに結合することを明らかにした。これは、eIF3がIRES依存的な翻訳開始だけでなく伸長や再開始にも関与する可能性や、通常のキャップ依存的な翻訳においても60Sとの結合や伸長リボソーム上でのeIF3の安定化に寄与する可能性を示すものである。

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