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2025/12/15

視床-皮質相互作用は、ヒト多能性幹細胞由来アセンブロイドにおける細胞種特異的な大脳皮質の発生を駆動する

論文タイトル
Thalamus–cortex interactions drive cell type–specific cortical development in human pluripotent stem cell–derived assembloids
論文タイトル(訳)
視床-皮質相互作用は、ヒト多能性幹細胞由来アセンブロイドにおける細胞種特異的な大脳皮質の発生を駆動する
DOI
10.1073/pnas.2506573122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.47 e2506573122
著者名(敬称略)
筆頭著者:西村 優利
連絡著者:小坂田 文隆
所属
名古屋大学 大学院創薬科学研究科 細胞薬効解析学分野
著者からのひと言
私たちは「脳を作って理解する」アプローチで、ヒト脳の視床と大脳皮質の相互作用を試験管内で再現し、視床入力が細胞種レベルで大脳皮質の神経回路の形成を制御することを示しました。この成果は、ヒト脳の発生・発達の理解を深めるとともに、神経発達症の原因解明と創薬開発へ繋がると期待しています。

抄訳

本研究では、ヒト多能性幹細胞由来の大脳皮質オルガノイドと視床オルガノイドを融合した視床皮質アセンブロイド(hThCA)を用い、視床–皮質相互作用がヒト大脳皮質の発達をどのように制御するかを明らかにした。hThCAでは双方向の軸索投射とシナプスが再構成され、視床入力により軸索形成・皮質板関連・活動依存的遺伝子の発現上昇を伴う大脳皮質の成熟が加速した。組織解析では、神経前駆細胞プールの拡大と深層ニューロンの増加が認められた。さらに、hThCAにおいて、神経活動が視床から大脳皮質へ波状に伝播し、大脳皮質側では錐体路(PT)ニューロンと皮質視床(CT)ニューロンにのみ同期活動が出現し、大脳内(IT)ニューロンは非同期のままであった。以上より、視床由来の拡散性因子が前駆細胞の増殖を、長距離シナプス入力が細胞種特異的な同期ネットワークの形成を担うことが示唆される。hThCAは視床皮質連関の破綻が関与する神経発達症の分子・細胞・回路レベルでの解析を可能にする有効なヒト脳モデルとなる。

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