抄訳
Notchは多細胞生物の発生、分化、恒常性に重要なシグナル伝達受容体である。Notchは細胞外に多数の上皮増殖因子 (EGF) 様リピートと呼ばれる構造を持つ。このNotchの機能はEGFに存在する複数の翻訳後修飾に制御されていることが知られている。その一つであるO-グルコース糖鎖はこれまでキシロース二残基により伸長されることが知られていた。しかし、筆者らは、精密な質量分析法を用いて、O-グルコースがガラクトースとN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)によっても伸長されうることを発見した。この新たに発見した構造はNOTCH1とNOTCH3の特定のEGFのみに付加する。さらに、EGF内の糖鎖修飾部位ではない特定のアミノ酸に強く依存して存在していることが明らかになった。この構造の機能として、NotchとNotchリガンドであるDLL1およびDLL4との結合を抑制し、Notchシグナルを抑制していることが明らかになった。さらに、リンパ球前駆体細胞においては、DLL1およびDLL4によるNotchシグナル依存的なT細胞への分化を抑制することも明らかになった。これらの発見はO-結合型糖鎖修飾による複雑なNotch受容体制御機構の理解に貢献する。