本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2026/01/05

短腸症候群を有する小児に生じた症候性ビタミンA欠乏症

論文タイトル
Symptomatic vitamin A deficiency in a paediatric patient with short bowel syndrome
論文タイトル(訳)
短腸症候群を有する小児に生じた症候性ビタミンA欠乏症
DOI
10.1136/bcr-2025-268985
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Volume 18, Issue 12
著者名(敬称略)
髙橋 達也 他
所属
国立成育医療研究センター神経内科
著者からのひと言
先進国ではまれと考えられがちなビタミンA欠乏症が、短腸症候群の小児では実臨床で失明リスクを伴う現実的な問題となり得ることを示した重要な症例です。とくに「TPNやSPNをしていれば安全」という思い込みへの警鐘として、夜盲や結膜乾燥といった初期眼症状を見逃さず、即座に血清レチノールを測定する実践的メッセージが臨床医に強く響く論文です。

抄訳

【背景】短腸症候群(short bowel syndrome: SBS)では脂溶性ビタミンの欠乏が生じやすいが、先進国において症候性ビタミンA欠乏症はまれである。
【症例】思春期早期の男児。ヒルシュスプルング病類縁疾患であるHypoganglionosis(腸管神経節細胞僅少症)に対する手術後に重症SBSとなり、乳児期より在宅補助的静脈栄養(SPN)を継続していた。夜盲を主訴に受診し、結膜乾燥およびビトー斑を認めた。血清レチノール値は4.2 µg/dLと著明低値であったが、ビタミンD・E・Kは正常範囲内であった。
【治療と経過】吸収障害を考慮し、ビタミンA 10万IUを筋注で1・2日目および2週後に投与したところ、夜盲および眼所見は速やかに改善した。
【考察】SBSでは胆汁酸依存性が最も高いビタミンAが選択的に欠乏しやすく、SPN施行中であっても症候性欠乏を来す可能性がある。眼症状を契機とした早期診断と迅速な補充療法が失明予防に重要である。

論文掲載ページへ