抄訳
【背景】短腸症候群(short bowel syndrome: SBS)では脂溶性ビタミンの欠乏が生じやすいが、先進国において症候性ビタミンA欠乏症はまれである。
【症例】思春期早期の男児。ヒルシュスプルング病類縁疾患であるHypoganglionosis(腸管神経節細胞僅少症)に対する手術後に重症SBSとなり、乳児期より在宅補助的静脈栄養(SPN)を継続していた。夜盲を主訴に受診し、結膜乾燥およびビトー斑を認めた。血清レチノール値は4.2 µg/dLと著明低値であったが、ビタミンD・E・Kは正常範囲内であった。
【治療と経過】吸収障害を考慮し、ビタミンA 10万IUを筋注で1・2日目および2週後に投与したところ、夜盲および眼所見は速やかに改善した。
【考察】SBSでは胆汁酸依存性が最も高いビタミンAが選択的に欠乏しやすく、SPN施行中であっても症候性欠乏を来す可能性がある。眼症状を契機とした早期診断と迅速な補充療法が失明予防に重要である。