抄訳
グリコサミノグリカン(GAG)はウロン酸とアミノ糖からなる多糖であり、腸管などヒトの各組織に分布する。GAGを資化することにより定着・常在する細菌がいる。GAGの分解により生じる不飽和ウロン酸は遺伝子クラスターを構成する異性化酵素(KduIまたはDhuI)と還元酵素(KduDまたはDhuD)の逐次反応により代謝されるが、Kdu・Dhuの配列同一性はいずれの酵素間でも低い。本研究では、3,000種以上の細菌ゲノムを対象として、それらの分子系統を解析し、クラスターの多様性に関する以下の知見を得た。クラスター保有種の系統樹上での分布に大きな偏りは見られず、特にkduI-kduDクラスター保有種は広く分布する。一方、Bacteroidota門はkduとdhuが混在したkduI-dhuDクラスターを有し、Bacillota門はdhuD-dhuIクラスターをもつ。ヒト腸内細菌叢ではkduI-dhuDおよびdhuD-dhuIクラスターの出現頻度が高いことから、これらのクラスターが腸内での生存に有利に働き、進化的に保存されていることが示唆される。