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2026/01/21

細菌によるグリコサミノグリカンの代謝に関わる異性化酵素/還元酵素の遺伝子クラスターの分子進化と多様性

論文タイトル
Molecular evolution and diversity of isomerase–reductase clusters involved in the bacterial metabolism of glycosaminoglycans
論文タイトル(訳)
細菌によるグリコサミノグリカンの代謝に関わる異性化酵素/還元酵素の遺伝子クラスターの分子進化と多様性
DOI
10.1128/msphere.00817-25
ジャーナル名
mSphere
巻号
mSphere Ahead of Print
著者名(敬称略)
西村 優 橋本 渉 他
所属
京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻生物機能変換学分野
著者からのひと言
同一の活性を示すが配列同一性の低い二種類の酵素(KduI・DhuIとKduD・DhuD)の各アイソザイム遺伝子が細菌ゲノム上に並んで存在する遺伝子クラスターについて、配列同一性が低いにもかかわらず、なぜゲノム上にそれぞれ並ぶことができたのかに興味をもちました。さらに、kdudhuが混在したハイブリッド型の遺伝子クラスターの発見を契機に、網羅的な細菌ゲノムを解析し、これらのアイソザイム遺伝子クラスターの細菌における分布を調べることにより、その分子進化と多様性に関する新たな知見を得ることができました。

抄訳

グリコサミノグリカン(GAG)はウロン酸とアミノ糖からなる多糖であり、腸管などヒトの各組織に分布する。GAGを資化することにより定着・常在する細菌がいる。GAGの分解により生じる不飽和ウロン酸は遺伝子クラスターを構成する異性化酵素(KduIまたはDhuI)と還元酵素(KduDまたはDhuD)の逐次反応により代謝されるが、Kdu・Dhuの配列同一性はいずれの酵素間でも低い。本研究では、3,000種以上の細菌ゲノムを対象として、それらの分子系統を解析し、クラスターの多様性に関する以下の知見を得た。クラスター保有種の系統樹上での分布に大きな偏りは見られず、特にkduI-kduDクラスター保有種は広く分布する。一方、Bacteroidota門はkdudhuが混在したkduI-dhuDクラスターを有し、Bacillota門はdhuD-dhuIクラスターをもつ。ヒト腸内細菌叢ではkduI-dhuDおよびdhuD-dhuIクラスターの出現頻度が高いことから、これらのクラスターが腸内での生存に有利に働き、進化的に保存されていることが示唆される。

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