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2026/01/23

メトホルミンは MEN1 関連膵および下垂体神経内分泌腫瘍を抑制する― マウスモデルおよび臨床データの解析―

論文タイトル
Metformin Suppresses MEN1-Associated Pancreatic and Pituitary Neuroendocrine Tumors: Evidence from Mouse Models and Clinical Data
論文タイトル(訳)
メトホルミンは MEN1 関連膵および下垂体神経内分泌腫瘍を抑制する― マウスモデルおよび臨床データの解析―
DOI
10.1530/ERC-25-0518
ジャーナル名
Endocrine-Related Cancer
巻号
Accepted Manuscripts ERC-25-0518
著者名(敬称略)
中野 愛里 大木 理恵子 他
所属
国立がん研究センター研究所 基礎腫瘍学ユニット
著者からのひと言
私たちの研究グループは、ケトン食による食事介入(Cell Death & Disease, 2023)および本研究におけるメトホルミンを用いた薬理学的介入という二つの異なる手法を通じて、血糖およびインスリンシグナル制御が膵・下垂体神経内分泌腫瘍の発症・進展を規定する重要な因子であることを明らかにしました。これらの成果は、全身代謝制御を治療標的とする新たな神経内分泌腫瘍治療概念を提示するものです。

抄訳

膵神経内分泌腫瘍(PanNET)は膵がん全体の約1–2%を占める希少がんであり、その大半を占める非機能性PanNET(NF-PanNET)はホルモン症状を示さないため発見が遅れ、治療が困難である。多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)はMEN1遺伝子の生殖細胞系列変異により発症し、PanNETや下垂体神経内分泌腫瘍(PitNET)を高頻度に合併する。本研究では、NF-PanNETとPitNETの両方を発症するMen1f/f-RipCre+マウスを用い、糖尿病治療薬メトホルミンの長期投与効果を検討した。その結果、メトホルミンは血糖上昇を抑制し、インスリン分泌を正常化するとともに、PI3K/Akt/mTOR経路を抑制してPanNETおよびPitNETの発症を抑制した。さらに臨床解析において、メトホルミン使用歴のあるNF-PanNET患者は予後良好であった。以上より、メトホルミンによる血糖制御はNF-PanNETおよびMEN1関連神経内分泌腫瘍に対する有望な予防・治療戦略となり得る。

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