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2026/02/10

Edwardsiella tarda の栄養獲得機構が壊死性軟部組織感染症の病態進展を導く

論文タイトル
Nutrient acquisition drives Edwardsiella tarda pathogenesis in necrotizing soft tissue infection
論文タイトル(訳)
Edwardsiella tarda の栄養獲得機構が壊死性軟部組織感染症の病態進展を導く
DOI
10.1128/msystems.01657-25
ジャーナル名
mSystems
巻号
mSystems Ahead of Print
著者名(敬称略)
山﨑 浩平 柏本 孝茂 他
所属
北里大学獣医学部獣医学科獣医公衆衛生学研究室
著者からのひと言
本研究では、壊死性軟部組織感染症という極めて重篤な病態において、起因菌 Edwardsiella tarda の病原性に寄与する因子を網羅的に探索しました。その結果、毒素などの直接的な病原因子はほとんど検出されず、栄養素の代謝や輸送に関与する遺伝子が多く選抜されました。これは、見過ごされがちであった病原細菌の栄養獲得機構の重要性を明確に示したものです。本成果が、侵襲性感染症の病態理解や新たな制御戦略を考える一助となれば幸いです。

抄訳

壊死性軟部組織感染症(NSTI)は急速に進行し、高い致死率を示す重篤な感染症である。原因菌は多岐に渡るが、それらが宿主体内でどのように増殖・定着するかについては不明な点が多い。本研究では、NSTI原因菌のひとつである Edwardsiella tarda に、TraDIS (Transposon-directed insertion-site sequencing) 解析を適用し、感染局所での生存・増殖に必須の遺伝子を網羅的に同定した。その結果、感染局所の軟部組織内での増殖に、鉄やアミノ酸などの栄養獲得に関与する遺伝子群が強く寄与していた。さらに、これら遺伝子の変異株はマウス感染モデルにおいて有意に病原性が低下していた。以上のことから、NSTIにおいては環境適応としての栄養獲得が病態進展の鍵であることが示された。本研究は、侵襲性感染症における病態発現の基礎として、宿主から巧みに栄養源を奪う、統制された制御システムの連動が重要であることを示している。

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