抄訳
背景: 肺結核に対して、喀痰核酸増幅検査(NAAT)を連続して実施した場合の追加診断性能は十分に確立されていない。本研究では、結核非高蔓延地域において、喀痰NAATを最大3回連続で行った際の診断性能を評価することを目的とした。
方法: 2010年から2023年に日本で肺結核が疑われた4,051例を後方視的に解析した。喀痰培養陽性、または喀痰NAAT陽性で臨床所見と整合し肺結核と判断された症例を肺結核群(n=290)とし、それ以外を非肺結核群(n=3,761)とした。塗抹検査、NAAT、培養検査について、3回までの喀痰検体での累積感度及び累積特異度を算出した。培養検査単独の場合と喀痰NAATを 3回まで併用した場合の診断確定までの時間を比較した。
結果: 肺結核群で2回目のNAATにより累積感度が53.1%から63.1%へ上昇し、平均診断時間は10.9日から8.3日へ短縮した。3回目のNAATによる追加効果は限定的で、感度は67.2%までの上昇にとどまり、診断時間も8.1日であった。喀痰塗抹陽性PTBでは、NAAT感度は1回目の84.9%から2回目で97.8%まで上昇した。喀痰塗抹陰性例でも感度は23.8%から31.1%へ上昇した。
結論: 結核非高蔓延地域において、喀痰NAATを2回実施することで診断感度が有意に改善し、診断までの時間も短縮された。