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2026/02/18

デュアルレセプター型Phikzvirusを基軸としたファージカクテルによる緑膿菌耐性進化の抑制

論文タイトル
Phage cocktails containing a dual-receptor Phikzvirus suppress resistance evolution in Pseudomonas aeruginosa
論文タイトル(訳)
デュアルレセプター型Phikzvirusを基軸としたファージカクテルによる緑膿菌耐性進化の抑制
DOI
10.1128/aem.02095-25
ジャーナル名
Applied and Environmental Microbiology
巻号
Applied and Environmental Microbiology Ahead of Print
著者名(敬称略)
藤木 純平 岩野 英知 他
所属
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 獣医生化学ユニット
著者からのひと言
薬剤耐性感染症への切り札“ファージ療法”の奏功性を高めるためにはファージ耐性の克服が課題です。本研究では、異なる受容体を認識するファージカクテルで細菌の逃げ道を先回りし、緑膿菌のファージ耐性進化を防ぐ戦略を具現化しました。また、単なる耐性抑止に留まらず、進化的トレードオフにより高いコストを強制することで、軍拡競争(arms race)から進化的罠(evolutionary trap)の袋小路へと追い込み、ファージ耐性を治療有益性へ逆転させる端緒を見出しました。今後は本学附属動物病院での臨床試験を通じ、ファージ療法の新たなパラダイムを実証したいと考えています。

抄訳

多剤耐性緑膿菌感染症に対するファージ療法において、細菌の急速なファージ耐性獲得は臨床上の大きな障壁です。本研究では、独自に単離したPhikzvirus属ファージ“ΦBrmt”が、IV型線毛と鞭毛の両方を感染受容体として利用する「デュアルレセプター(二重受容体)」機構を持つことを解明しました。このΦBrmtとLPS(リポ多糖)標的ファージを組み合わせ、異なる3種の受容体を狙う合理的カクテルを構築、臨床分離株を用いて検討した結果、各ファージの単独接種と比較して、カクテルは耐性菌の出現を劇的に抑制することに成功しました。また、実験室内進化でΦBrmt耐性獲得に伴い線毛や鞭毛を喪失した変異株は、運動性や病原性が顕著に低下する「進化的トレードオフ」を示しました。これは、耐性化そのものを抑えるだけでなく、仮に耐性化が起こっても細菌に高いフィットネスコストを強制し、治療有益性を維持できることを意味します。本成果は、受容体同定に基づく合理的カクテル設計が、耐性進化の回避・制御に極めて有効であることを提示しています。

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