抄訳
Na+/H+交換体制御因子NHERFはイオンチャネルや受容体を,ERMタンパク質への結合を介してアクチン細胞骨格へ繋ぎ止めるのに鍵となるアダプタータンパク質である.NHERFはERMタンパク質のFERMドメインに結合するが,接着分子に見つかっているFERMドメインへの結合に特徴的なモチーフ-1配列をもたない.今回のラデキシンFERMドメインとNHERF-1またはNHERF-2のC-末端ペプチドとの複合体結晶構造は,モチーフ-1と異なる 13残基のMDWxxxxx(L/I)Fxx(L/F)(モチーフ-2)配列に特異的なペプチド結合部位がFERMドメイン上存在することを明らかにした.この新規なモチーフ-2は,FERMドメインのサブドメインCとの疎水的な結合のために両親媒性のαらせんを形成する.両結合部位は完全には重なっていないが,モチーフ-2の結合は,サブドメインCに誘導適合のコンホメーション変化を起こし,接着分子との結合を妨害する.我々の研究は,膜タンパク質と細胞骨格の間の多彩なERMタンパク質による連結の構造的事例を提供している.