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2006/07/06

SecMの翻訳アレスト配列の最後に存在するプロリンはリボソームのAサイトでポリペプチドに取り込まれることなく機能する

論文タイトル
Genetically Encoded but Nonpolypeptide Prolyl-tRNA Functions in the A Site for SecM-Mediated Ribosomal Stall
論文タイトル(訳)
SecMの翻訳アレスト配列の最後に存在するプロリンはリボソームのAサイトでポリペプチドに取り込まれることなく機能する
DOI
10.1016/j.molcel.2006.03.033
ジャーナル名
Molecular Cell 
巻号
Molecular Cell | May 19, 2006 | vol. 22 | no. 4 | 545-552
著者名(敬称略)
伊藤 維昭 他
所属
京都大学 ウィルス研究所 細胞生物学研究部門

抄訳

SecMは翻訳途上においてSec分泌装置によって引っ張られない限りその翻訳を完結できない。これはそのアレスト配列F150XXXXWIXXXXGIRAGP166がリボソームの脱出トンネルと相互作用する結果と考えられる。この翻訳伸長アレストの機構を解明するため、in vitro翻訳系(PURE SYSTEM)を用いて、secM mRNA上におけるリボソームの停止位置を決定し、またアレスト状態のpolypeptidyl-tRNAを分析したところ、(i) リボソームはアレストに必須なPro166のコドンがAサイトに位置した状態で停止すること、(ii) Gly165とPro166間のペプチド結合は形成されていないこと、(iii)アレスト状態の翻訳 複合体はピューロマイシンの作用を受けない(Aサイトはprolyl-tRNAにより 占められている)ことが示された。secM mRNA上に遺伝情報として書き込まれているPro166コドンは、「ポリペプチドの一部としてのプロリンをコード して いる」以外に、「リボソーム活性中心で、ポリペプチド鎖に組み込まれることなく伸長抑制に寄与するProlyl-tRNAをコードしている」ことにその生物学的 使命(分泌 モニター)の重要な部分がある。フリーのaminoacyl-tRNAをA−サ イトにリクルートする段階で役割を果たす遺伝情報の存在は興味深い。

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