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2006/12/14

FRETプローブを用いた、PI3-KによるRalA活性制御の可視化

論文タイトル
Regulation of RalA GTPase by phosphatidylinositol 3-kinase as visualized by FRET probes
論文タイトル(訳)
FRETプローブを用いた、PI3-KによるRalA活性制御の可視化
DOI
10.1042/BST0340851
ジャーナル名
Biochemical Society Transaction Portland Press
巻号
October 2006 | vol. 34 | part 5 | 851-854
著者名(敬称略)
吉崎尚良、青木一洋、中村岳史、松田道行
所属
国立循環器病センター研究所 循環器形態部

抄訳

低分子量Gタンパク質は細胞内シグナル伝達機構においてスイッチ分子として働く。その役割は単に、シグナルを中継するだけでなく、細胞内の複数のシグナルを統合したり、分岐したりしている。例えばRalAはRas、Rac、PI3-Kの3つのカスケードからシグナルが入力される。我々は、このような複雑なシグナル伝達カスケードを明らかにするために蛍光共鳴エネルギー移動を応用したバイオセンサーを開発し解析に用いている。我々はこれまでにRasファミリーGタンパク質、リン酸化酵素、リン脂質等のFRETプローブを開発し、上皮増殖因子(EGF)刺激によりRasは形質膜上で緩やかな勾配を持った活性化を示すこと、またRalAは葉状仮足上で限局した活性化しか示さないことを明らかにした。本総説では、EGF刺激により、PI3-Kの代謝産物であるフォスファチジルイノシトール3リン酸(PIP3)は形質膜上で均一に分布すること、それに対しPIP3の代謝産物フォスファチジルイノシトール(3,4)2リン酸[PI(3,4)P2]は細胞辺縁でより高い分布を示すこと、またAktの活性化の局在とタイムコースがPI(3,4)P2の分布の変化と相関することを示し、RalAの限局した活性制御におけるPI(3,4)P2とAktの関与について考察する。そしてRasとPI3-KシグナルはRalGEFで収束しRalAの活性の限局化につながること示す。

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