抄訳
細胞の生存・増殖を制御するERK(extracellular signal-regulated kinase)は神経細胞の生存と死の相反するシグナルに関与している。酸化ストレスの関与が指摘されているが標的分子も含めて十分に理解されていない。本稿では、ERKの下流で働くp90リボゾーマルS6キナーゼ1(RSK-1)が、神経型一酸化窒素(NO)合成酵素と結合し、その部位特異的リン酸化によって、NO産生を抑制することを細胞レベルで明らかにした。神経細胞の生死に関わるERキナーゼシグナルの一部はRSK-1/NO産生制御を介して発現しているのかも知れない。