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2007/03/19

弾性線維形成におけるトロポエラスチンのドメイン16と17

論文タイトル
Domains 16 and 17 of tropoelastin in elastic fiber formation
論文タイトル(訳)
弾性線維形成におけるトロポエラスチンのドメイン16と17
DOI
10.1042/BJ20061145
ジャーナル名
Biochemical Journal Portland Press
巻号
February 2007|vol. 402 | no. 1 | 63-70
著者名(敬称略)
輪千 浩史、里 史明、中澤 順次、野中 里紗、Szabo Zoltan、Urban Zsolt、安永 卓男、前田 衣織、岡元 孝二、Starcher Barry、Li Dean、Mecham Robert、瀬山 義幸
所属
星薬科大学臨床化学教室

抄訳

先天的な突然変異はタンパク機能にとって重要な領域を同定するのに役立つ。私たちは、大動脈弁狭窄症(SVAS)で見られるエラスチン遺伝子の800-3G>C変異について検討した。家族性SVAS患者から得た初代皮膚線維芽細胞のmRNAからトロポエラスチンのエクソン16と17の欠損体を検出した。このエクソン16-17を欠損したトロポラスチン(Δ16-17)を網膜色素上皮細胞に遺伝子導入したところタンパク合成および分泌は認められたが、蛍光免疫染色およびデスモシン測定によるΔ16-17のエラスチン線維形成は正常に比べ低かった。固相結合実験において、Δ16-17はfibrillin-1やfibulin-5との結合に変化は認められず、Δ16-17の自己集合が低下することがわかった。さらに、ネガティブ染色による電子顕微鏡観察は、Δ16-17が線維性の重合体形成が低下することを認めた。ドメイン16は、線維形成するために必要なβシート構造を構築できるドメイン30と高い相同性を有している。以上のことから、私たちは、ドメイン16と17はトロポエラスチンの自己集合とエラスチン線維形成に重要であると結論づけた。本研究は、相同分子の相互作用によるエラスチン分子内ドメインがエラスチン線維形成 に必須な役割を担っていることを最初に報告するものである。

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