本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2007/04/19

DYRK2はDNA損傷によって核に移行しp53セリン46をリン酸化してアポトーシスを誘導する

論文タイトル
DYRK2 Is Targeted to the Nucleus and Controls p53 via Ser46 Phosphorylation in the Apoptotic Response to DNA Damage
論文タイトル(訳)
DYRK2はDNA損傷によって核に移行しp53セリン46をリン酸化してアポトーシスを誘導する
DOI
10.1016/j.molcel.2007.02.007
ジャーナル名
Molecular Cell 
巻号
March 2007|vol. 25 | no. 5 | 725-738
著者名(敬称略)
吉田清嗣、他
所属
東京医科歯科大学 難治疾患研究所ゲノム応用医学研究部門 分子遺伝分野

抄訳

細胞ではDNA損傷が生じると、それに応答して多くの分子が活性化されることが知られている。なかでもp53はDNA傷害によって細胞周期を止めたり、アポトーシスを誘導するが、どのような仕組みでこれらの機能を使い分けているのか、不明だった。近年、p53のセリン46のリン酸化がp53AIP1の発現を誘導し、アポトーシスによる細胞死が惹起されることが明らかにされた。すなわちこのセリン46をリン酸化する酵素(キナーゼ)は、p53を介したアポトーシス誘導に必須である。にもかかわらず、そのキナーゼは同定されていない。本研究で我々はそのセリン46キナーゼとしてDYRK2を同定した。DNA 損傷によりDYRK2は細胞質から核に移動し、p53のセリン46をリン酸化する。このリン酸化によりp53AIP1の発現とアポトーシス誘導が認められた。一方、細胞内でのDYRK2の発現をRNA干渉により消失させると、p53セリン46のリン酸化が起きなくなり、アポトーシス誘導も有意に抑えられた。これらの結果から、DYRK2はセリン46のリン酸化によりp53のアポトーシス誘導機能を制御していることが明らかとなった。

論文掲載ページへ