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2007/07/19

マイクロアレイ解析によるホルモン不応性前立腺癌の分子的特徴

論文タイトル
Molecular Features of Hormone-Refractory Prostate Cancer Cells by Genome-Wide Gene Expression Profiles
論文タイトル(訳)
マイクロアレイ解析によるホルモン不応性前立腺癌の分子的特徴
DOI
10.1158/0008-5472.CAN-06-4040
ジャーナル名
Cancer Research 
巻号
June 1 2007|vol. 67 | No. 11 | 5117-5125
著者名(敬称略)
中川 英刀
所属
東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター

抄訳

前立腺癌の臨床において最も大きな問題は、ホルモン療法に抵抗性となった前立腺癌の出現である。通常、前立腺癌の増殖は男性ホルモンに強く依存しており、男性ホルモンの分泌を抑制する内科的/外科的去勢によって、前立腺癌の増殖は抑制される。しかし、その約20-30%は最終的にホルモン不応性となり、より癌としての悪性度が増し、化学療法にも抵抗性で、患者を死に至らしめる。我々は、このホルモン不応性前立腺癌の分子的特徴を解明するため、採取困難な臨床のホルモン不応性前立腺癌25検体より癌細胞のみをマイクロダイセクションを行い、cDNAマイクロアレルにてゲノムワイドでの遺伝子発現プロファイルを作製した。同時に10検体の通常の前立腺癌においても、同様にゲノムワイドでの遺伝子発現プロファイルを作製し、比較を行った。その結果、遺伝子発現パターンにおいて、ホルモン不応性前立腺癌は、通常の前立腺癌と明らかに異なっており、ホルモン不応性前立腺癌において、発現変化がある遺伝子を106個同定した。その中には、アンドロゲン受容体やHLA等がふくまれ、これらの遺伝子発現変化は、ホルモン不応性前立腺癌のおけるホルモン療法耐性や、より悪性度の高い表現系に強く関与するものと考えられる。これらの遺伝子発現プロファイルは、前立腺癌の発生や進展機構の解明のみならず、新規の分子標的薬の開発に有用と考える。

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