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2007/10/09

女性ホルモンによる骨量維持作用は破骨細胞内の核内受容体と細胞死誘導因子を介する

論文タイトル
Estrogen Prevents Bone Loss via Estrogen Receptor α and Induction of Fas Ligand in Osteoclasts
論文タイトル(訳)
女性ホルモンによる骨量維持作用は破骨細胞内の核内受容体と細胞死誘導因子を介する
DOI
10.1016/j.cell.2007.07.025
ジャーナル名
Cell Cell Press
巻号
October 2007|vol. 130|issue 5|811-823
著者名(敬称略)
中村 貴、加藤茂明、他
所属
東京大学分子細胞生物学研究所核内情報研究分野

抄訳

高齢化社会に伴い、老年期における骨粗鬆症による生活レベルの低下、特に女性の閉経後骨粗鬆症は大きな社会問題であります。しかしながら、閉経に伴って減少する女性ホルモンの骨組織に対する効果は不明でした。
本論文では、女性ホルモン欠乏によって引き起こされる骨吸収促進による骨減少に着目し、骨組織、特に破骨細胞における核内女性ホルモン受容体(ERα)の機能を、遺伝子改変マウスを用い解析しました。その結果、女性ホルモンが破骨細胞内のERαに結合することによって、Fas Ligandの遺伝子発現が亢進し、アポトーシスを引き起こし、破骨細胞寿命を短縮することで骨吸収を抑制することが、初めて明らかになりました。
本研究の成果は、女性ホルモンの骨組織における重要な作用点が、骨吸収をつかさどる破骨細胞であることを、脊椎動物の生体内で初めて発見したことです。今後の骨粗鬆症治療開発の一助となることが期待されます。

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