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2007/11/02

フコガングリオシドα-fucosyl(α-galactosyl)-GM1:新規に同定されたPC12細胞の神経突起発生を誘導する脂質膜ラフト成分

論文タイトル
Fucoganglioside α-fucosyl(α-galactosyl)-GM1: a novel member of lipid membrane microdomain components involved in PC12 cell neuritogenesis
論文タイトル(訳)
フコガングリオシドα-fucosyl(α-galactosyl)-GM1:新規に同定されたPC12細胞の神経突起発生を誘導する脂質膜ラフト成分
DOI
10.1042/BJ20070090
ジャーナル名
Biochemical Journal Portland Press
巻号
October 2007|vol. 407|part 1|31-40
著者名(敬称略)
山崎泰広、端川 勉、他
所属
独立行政法人理化学研究所脳科学総合研究センター神経構築技術開発チーム

抄訳

真核細胞の形質膜の脂質外層板には、コレステロール成分の多い脂質ラフトとよばれるクラスター状の微小区画が形成されている。脂質ラフトにはガングリオシド(シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質の総称)が集積していることが知られているが、ラフトのガングリオシドの分子構成やそれらの生物機能の発現機構についての詳細は不明である。本研究では著者によって作製されたラフトに対するモノクローン抗体(PR#1)を用い、ラフトの新たなガングリオシド成分としてフコガングリオシドFuc(Gal)-GM1 {α-fucosyl(α-galactosyl)-GM1}を同定した。PC12細胞膜上のFuc(Gal)-GM1はPR#1抗体によって刺激されるとPC12細胞に細胞質突起の発生をうながし、神経成長因子(NGF)と共役的にはたらいて、PC12細胞の神経細胞への分化を促進した。細胞内シグナル伝達にはSrc族キナーゼのFynとYesが関与していた。この機構は相同のガングリオシドの伝達機構(Trk AとERKSキナーゼが関与する)とはまったく異なっていた。形質膜脂質ラフトはガングリオシドの構成の違いによって、機能的に分化したプラットホームを細胞内シグナル伝達機構に提供していることを示唆している。

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