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2008/01/07

カテプシンEは癌細胞膜上から可溶型TRAILを産生することで腫瘍増殖および転移を抑制する

論文タイトル
Cathepsin E Prevents Tumor Growth and Metastasis by Catalyzing the Proteolytic Release of Soluble TRAIL from Tumor Cell Surface
論文タイトル(訳)
カテプシンEは癌細胞膜上から可溶型TRAILを産生することで腫瘍増殖および転移を抑制する
DOI
10.1158/0008-5472.CAN-07-2048
ジャーナル名
Cancer Research 
巻号
November 15, 2007|Vol. 67|No. 22|10869-10878
著者名(敬称略)
川久保友世、山本健二*、他
所属
*九州大学大学院歯学研究院口腔常態制御学講座口腔機能分子科学

抄訳

カテプシンEは細胞内アスパラギン酸プロテアーゼであり、主に免疫系細胞等に限局的に発現している。本酵素は免疫細胞や癌細胞から細胞外に分泌されているが、その癌における役割については不明であった。本論文では、カテプシンEがin vitroおよびin vivoにおいて正常細胞に影響を及ぼさずに癌細胞特異的アポトーシスを引き起こすこと、またそれは本酵素が癌細胞特異的アポトーシス誘導因子として知られるTRAIL(TNF-related apoptosis inducing ligand)を癌細胞膜上から切断・遊離することで引き起こされるものと判明した。さらに、カテプシンE欠損マウスおよびカテプシンE過剰発現マウスを用いた実験において、宿主側カテプシンEの発現量が多いほど腫瘍増殖・転移は抑制され、リンパ球やマクロファージ等の免疫系細胞の浸潤・活性化が著しいことが示された。これらの結果から、カテプシンEは癌細胞表面からのTRAILの切断遊離、および免疫系細胞の活性化を通じて癌の増殖・転移を抑制していることがわかった。

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