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2008/08/19

Notchシグナルによって制御される血管内皮細胞の分節パターンに沿った分化と背側大動脈への移動

論文タイトル
Notch Mediates the Segmental Specification of Angioblasts in Somites and Their Directed Migration toward the Dorsal Aorta in Avian Embryos
論文タイトル(訳)
Notchシグナルによって制御される血管内皮細胞の分節パターンに沿った分化と背側大動脈への移動
DOI
10.1016/j.devcel.2008.03.024
ジャーナル名
Developmental Cell Cell Press
巻号
June 10, 2008|Vol. 14|No. 6|890-901
著者名(敬称略)
佐藤有紀、高橋淑子、他
所属
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科分子発生生物学講座

抄訳

体内で血管の3次元パターンがどのようにできるかについては、これまでほとんどわかっていなかった。発生中の胚内で最初につくられる背測大動脈の形成過程では、まず側板由来の原始血管がつくられ、その後、体節に由来する細胞が原始血管内に侵入することが知られていた。今回我々は、体節内で出現した血管内皮前駆細胞が、分節パターンに沿ってダイナミックに移動し大動脈形成に寄与することを見いだした。このときNotchシグナルが血管内皮細胞の分化と細胞移動の両方に重要な役割をもつ。またこれらの細胞移動には、原始血管からの誘因作用が関わる。分節パターンに沿って移動した内皮細胞は、最終的には背測大動脈全体に分布するようになる。この論文で報告された知見は、発生過程における血管形成のみならず、成体内での血管新生や、ガン細胞の転移の仕組みの解明につながることが期待される。

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