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2008/11/13

重合酵素を利用した乳酸ポリマー合成ための微生物工場の開発

論文タイトル
A microbial factory for lactate-based polyesters using a lactate-polymerizing enzyme
論文タイトル(訳)
重合酵素を利用した乳酸ポリマー合成ための微生物工場の開発
DOI
10.1073/pnas.0805653105
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
November 11, 2008|Vol. 105|No. 45|17323-17327
著者名(敬称略)
田口精一、他
所属
海道大学大学院工学研究科生物機能高分子専攻生物工学講座バイオ分子工学研究室

抄訳

乳酸ポリマーは、石油原料ではなく再生可能バイオマスから作られるバイオプラスチックの一種で、水と二酸化炭素に分解されることから、地球環境に優しい持続循環型の産業素材であり、産業用途が拡大しているバイオプラスチックの一つである。今回、乳酸導入型ポリマーを微生物を用いて「ワンステップ合成」する基礎技術の開発に初めて成功いたしました。従来、乳酸ポリマーは発酵による乳酸合成、抽出及び化学重合を含む複数のステップで生産されていましたが、今回の方法は、人工的に創成した乳酸重合酵素を組み込んだ微生物(大腸菌)を用いてバイオマスからワンステップで乳酸ポリマーを生産するものです。また、従来の技術では、化学構造が同一ながら光学的性質の異なる2種類の乳酸(D体とL体の光学異性体)の一方のみを選択的に化学重合することは大変難しいものでしたが、今回の方法は、乳酸重合酵素を用いることで最近注目されているD体のみを温和な条件で選択的に重合することができる点も、特筆すべきことです。

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