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2009/02/20

植物特異的なMCD1はシアノバクテリア由来のMinDと相互作用して葉緑体分裂面を決定する

論文タイトル
Plant-Specific Protein MCD1 Determines the Site of Chloroplast Division in Concert with Bacteria-Derived MinD
論文タイトル(訳)
植物特異的なMCD1はシアノバクテリア由来のMinDと相互作用して葉緑体分裂面を決定する
DOI
10.1016/j.cub.2008.12.018
ジャーナル名
Current Biology Cell Press
巻号
January, 2009|Vol. 19|Issue 2|151-156
著者名(敬称略)
中西弘充、鈴木健二、壁谷如洋、宮城島進也
所属
理化学研究所 基幹研究所 宮城島独立主幹研究ユニット

抄訳

葉緑体はシアノバクテリアの細胞内共生を起源とし、その分裂にはシアノバクテリアの細胞分裂装置に由来するFtsZリングの形成が必要である。葉緑体のFtsZリングは、バクテリアと同様にMinDおよびMinEタンパク質によって位置決定される。我々は、新たに植物特異的なMULTIPLE CHLOROPLAST DIVISION SITE 1(MCD1)が葉緑体のFtsZリングの位置決定に必要であることを発見した。MCD1とMinDは共に葉緑体分裂に必要で、葉緑体内包膜の分裂面にリング状および表面に分散した点状に局在した。MCD1を欠損するとMinDが分裂面に局在できなくなることから、MinDの局在にはMCD1が必要であることが分かった。Yeast two-hybrid assayの結果、MCD1とMinDが結合することから、植物特異的なMCD1がシアノバクテリアに由来するMinDと直接相互作用することで葉緑体分裂面の位置決定を行うことが考えられた。これらの結果は、葉緑体分裂面の位置決定メカニズムにおいて、シアノバクテリアに由来するMinシステムを調節するための新しいタンパク質を、宿主植物細胞が付け加えたことを示唆する。

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