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2009/07/01

毛乳頭細胞によるケラチノサイト増殖に対するWntとandrogenの作用機構

論文タイトル
Keratinocyte Growth Inhibition through the Modification of Wnt Signaling by Androgen in Balding Dermal Papilla Cells
論文タイトル(訳)
毛乳頭細胞によるケラチノサイト増殖に対するWntとandrogenの作用機構
DOI
10.1210/jc.2008-1053
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Endocrine Society
巻号
April 2009|Vol. 94|Issue 4|1288-1294
著者名(敬称略)
北川朋子、他
所属
京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学

抄訳

Wntは形態形成や細胞分化に関与する細胞間シグナル伝達因子の1つであり、毛包形成を促進する。男性ホルモンであるandrogenは部位特異的に毛の成長を退行させることが知られている。そこで、我々はandrogenが発毛促進因子Wntのシグナルを調節し、発毛・脱毛に影響を与えているとの仮説を立てた。毛乳頭細胞とKeratinocyte(KC)の共培養系を確立し、Wnt3aとandrogenの付加によるKC増殖効果を調べた。男性型脱毛症患者由来毛乳頭細胞では、Wnt3aによるKCの増殖促進効果はandrogenによって有意に抑制された。またandrogenは細胞内でのアンドロゲン受容体とWntの下流因子の共核移行を亢進させ、Wntシグナルの下流の転写因子の転写活性を抑制した。また男性型脱毛症患者由来毛乳頭細胞におけるアンドロゲン受容体のたんぱく量は健常者と比べて有意に高値であった。以上より、男性型脱毛症患者由来毛乳頭細胞においては、アンドロゲン受容体の量的・質的な差異が、Wntシグナルの抑制に関与していると示唆された。

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