抄訳
目的:DWIにおけるHCCの信号強度とADCを病理組織学的分化度(以下分化度)と比較すること。
対象と方法:外科的に切除されたHCC 125結節に対してDWIおよびT2WIにおける信号強度を視覚的に3段階に分類し分化度と比較した。ADCと分化度の相関についても検討した。
結果:DWIにおいて周囲肝実質よりも高信号を示したHCCは114結節であった。これはT2WIにおいて同様の高信号を示した結節が90結節であったことに比べて有意に高い頻度であった。分化度が低下するに従ってDWIでの信号が高くなる傾向が見られたが、この傾向はT2WIでは指摘できなかった。HCCの平均ADCは1.43±0.32×10-3 mm2/secであり過去の報告とほぼ同様であった。ADCと分化度との間には有意な相関は指摘できなかった。
結論:HCCの分化度とADCとの間には明らかな相関はないが、DWIにおける信号強度は分化度が低下するほど高くなる傾向が見られた。しかしながらDWIにおける信号強度から分化度を類推するのはオーバーラップの大きさから困難と思われた。