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2009/12/22

視床下部オレキシンは交感神経を活性化することによって摂食に伴う骨格筋でのグルコース利用を亢進する

論文タイトル
Hypothalamic Orexin Stimulates Feeding-Associated Glucose Utilization in Skeletal Muscle via Sympathetic Nervous System
論文タイトル(訳)
視床下部オレキシンは交感神経を活性化することによって摂食に伴う骨格筋でのグルコース利用を亢進する
DOI
10.1016/j.cmet.2009.09.013
ジャーナル名
Cell Metabolism Cell Press
巻号
2009|Vol. 10|Issue 6|466-480
著者名(敬称略)
志内哲也、箕越靖彦、他
所属
自然科学研究機構生理学研究所発達生理学研究系 生殖・内分泌系発達機構研究部門 総合研究大学院大学生命科学研究科 生理科学専攻

抄訳

オレキシンニューロンは睡眠・覚醒レベルや動機付け行動を制御する。我々は、マウス、ラットの視床下部腹内側核(VMH)にオレキシンを投与するとVMHニューロンを直接興奮させ、骨格筋を支配する交感神経活動を選択的に上昇させることによって骨格筋のグルコースの取込みが亢進することを見いだした。さらに、インスリンによるグルコース取込みおよびグリコーゲン合成促進作用が増加した。白色脂肪組織ではこのような作用は見られなかった。オレキシンによる作用はβアドレナリン受容体遺伝子欠損マウスでは認められず、このマウスの骨格筋、および血管など骨格筋周辺細胞にβ2 受容体遺伝子を発現させるとオレキシンによるグルコース代謝促進作用が回復した。さらに我々は、自発的にサッカリン溶液を摂取するよう動機付けしたマウスにサッカリンを摂取させると、オレキシンニューロンが活性化し、これにより、インスリンによるグルコース代謝が骨格筋において選択的に増強することを見いだした。以上より、オレキシンおよびVMHにおけるオレキシン受容体は、強い動機付けによる摂食行動と味覚刺激によって活性化し、筋交感神経−β2 受容体経路を介して骨格筋でのグルコース代謝調節作用を促進すると考えられる。

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