抄訳
我々は様々な視覚情報を将来の行動に備えて持続的に心の内に留めることができる。こうした能力は分散化された神経機構によって成り立っていると考えられている。有力な仮説としては、前頭前野はこの神経機構に関与しているが、視覚システムの最終ステージである下部側頭皮質は関与していないというものである。本研究では、マカクサルの下部側頭皮質において、連合記憶によって想起された視覚情報は、干渉刺激が提示されても持続的にコードされることを示した。この結果は視覚情報を積極的に持続させる神経機構に前頭前野だけでなく下部側頭皮質も関わっていることを示唆している。