抄訳
イルカの胃液から新種のウレアプラズマを分離し、その特徴を解析した研究です。イルカは肉食動物でありながら前胃を持ち、その前胃細菌叢にウレアプラズマ属が優占することが知られていましたが、分離培養の難しさから詳細な研究は進んでいませんでした。本研究では微生物学的・遺伝学的手法により、この細菌が新種であることを確認し、Ureaplasma cetiと命名しました。ゲノム解析の結果、U. cetiは魚のイノシン酸からビタミンB2を合成する能力や、食物由来のウイルスからイルカを守る免疫システムを持つことが明らかになりました。この発見はイルカと微生物の共生関係の解明に重要な一歩であり、前胃がイルカの生存を支える重要な器官として進化した可能性を示唆しています。