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2025/04/01

イルカの胃液から分離した新種細菌、Ureaplasma ceti sp. nov

論文タイトル
Ureaplasma ceti sp. nov. isolated from the gastric fluid of a spotted dolphin (Stenella attenuata)
論文タイトル(訳)
イルカの胃液から分離した新種細菌、Ureaplasma ceti sp. nov
DOI
10.1099/ijsem.0.006712
ジャーナル名
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology
巻号
Vol. 75, No. 3 (2025)
著者名(敬称略)
瀬川 太雄
所属
日本大学 生物資源科学部 獣医学科 獣医衛生学研究室
著者からのひと言
この論文は、新種の微生物Ureaplasma cetiについて報告したものです。分離培養は、予想を超えない地道な培養条件の検討を用いることで成功しました。分離できたからこそ見えてきた知見が多くあります。これらに関しても引き続き調査を進め、イルカと微生物の共生関係についての理解を深めていきたいです。

抄訳

イルカの胃液から新種のウレアプラズマを分離し、その特徴を解析した研究です。イルカは肉食動物でありながら前胃を持ち、その前胃細菌叢にウレアプラズマ属が優占することが知られていましたが、分離培養の難しさから詳細な研究は進んでいませんでした。本研究では微生物学的・遺伝学的手法により、この細菌が新種であることを確認し、Ureaplasma cetiと命名しました。ゲノム解析の結果、U. cetiは魚のイノシン酸からビタミンB2を合成する能力や、食物由来のウイルスからイルカを守る免疫システムを持つことが明らかになりました。この発見はイルカと微生物の共生関係の解明に重要な一歩であり、前胃がイルカの生存を支える重要な器官として進化した可能性を示唆しています。

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