抄訳
概日時計による細胞周期の制御により、臓器や組織で失われた細胞が日内リズムに応じて補充される。本研究では、マウス舌上皮における細胞集団の時間依存的変化をシングルセルRNAシーケンスで解析し、幹細胞/前駆細胞や分化細胞、特にII型味細胞の細胞数の変動を確認した。味蕾幹細胞除去により新規細胞産生を抑制するとこれらの変動は消失した。時計遺伝子Bmal1遺伝子のノックダウンで味蕾オルガノイドでの24時間周期の細胞分裂が消失することは概日周期による制御を示唆する。舌上皮ではアポトーシスのリズムも観察されたが、幹細胞除去で失われ、新生細胞供給が細胞死リズムに必要であることが示唆された。味覚テストでは時間帯によりII型味細胞由来の感受性に変化が見られ、概日時計が日内の細胞数変化を調節することで舌の機能を調節していることが示唆された。