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2025/05/22

単純ヘルペスウイルス1型の蛋白質発現量と子孫ウイルス産生量の直接的関係性

論文タイトル
Direct relationship between protein expression and progeny yield of herpes simplex virus 1
論文タイトル(訳)
単純ヘルペスウイルス1型の蛋白質発現量と子孫ウイルス産生量の直接的関係性
DOI
10.1128/mbio.00280-25
ジャーナル名
mBio
巻号
mBio Ahead of Print
著者名(敬称略)
野邊 萌香 丸鶴 雄平 川口 寧 他
所属
東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 ウイルス病態制御分野
著者からのひと言
ウイルス感染細胞のシングルセル解析では、ウイルス遺伝子発現量と子孫ウイルス産生量が細胞ごとに大きくばらつくことが複数の研究で報告されています。しかし、従来は両者を別々に評価していたため、直接的な関連性は不明でした。本研究では、レポーターウイルス感染細胞の蛍光強度に基づいてセルソーターで細胞集団を分画し、それぞれのサブポピュレーションを統合解析するという、”ありそうでなかった”新規手法を確立し、ウイルスタンパク質発現量と子孫ウイルス産生量の直接的かつ定量的な関係を初めて明らかにした論文です。

抄訳

細胞内のウイルス蛋白質発現量と子孫ウイルス産生量は、細胞毎に大きくばらつくことが示されてきたが、その両者を同時に評価した研究はこれまで行われていなかった。本研究では単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の後期蛋白質Us11に蛍光蛋白質Venusを融合したレポーターウイルスを作製し、感染細胞をVenusの蛍光強度(すなわち後期蛋白質発現量)に応じて複数のサブポピュレーションに分画した。それぞれのサブポピュレーションのウイルス力価と電子顕微鏡解析を行った結果、後期蛋白質の発現量が特定の閾値を超えた場合のみ、ヌクレオカプシドの成熟が誘導され、子孫ウイルスが産生されることが明らかになった。

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