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2025/06/09

グライコプロテオミクス解析によるアンモニア酸化アーキアにおけるタンパク質Nグリコシル化の探索

論文タイトル
Exploring protein N-glycosylation in ammonia-oxidizing Nitrososphaerota archaea through glycoproteomic analysis
論文タイトル(訳)
グライコプロテオミクス解析によるアンモニア酸化アーキアにおけるタンパク質Nグリコシル化の探索
DOI
10.1128/mbio.03859-24
ジャーナル名
mBio
巻号
mBio Ahead of Print
著者名(敬称略)
中川 聡 他
所属
京都大学大学院 農学研究科 応用生物科学専攻 海洋環境微生物学分野
著者からのひと言
難培養微生物を対象とした糖鎖研究は、まだ始まったばかりの分野です。今後も、従来の常識にとらわれない微生物糖鎖の存在を明らかにすることで、微生物の生理生態や進化の理解に新たな視点を提供していきたいと考えています。

抄訳

アンモニア酸化アーキア(古細菌)は地球上に広く分布し、炭素や窒素循環、さらには地球温暖化などにおいて重要な役割を担っているが、培養困難であるため、研究は大きく遅れている。本微生物群は極めて低濃度のアンモニアに適応していることから、利用可能なアンモニアをすべてエネルギー源として効率よく利用し、亜硝酸へと変換していると考えられてきた。しかし本研究では、最先端の液体クロマトグラフィー‐タンデム質量分析法および核磁気共鳴法を用いた解析により、これらのアーキアの一種が、これまでに知られている中で最も窒素に富む糖鎖で細胞表面タンパク質を修飾していることを突き止めた。これは、糖鎖が窒素を貯蔵するという新たな機能を持つ可能性を示唆している。また、この糖鎖は、全真核生物や一部のアーキアと同様のコア構造を有していた。本研究は、アーキアおよび真核生物の進化の理解を深めるだけでなく、これらのアーキアにおける環境適応機構の理解にも貢献するものである。

 

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