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2025/06/12

イネの節間伸長におけるジベレリンの段階的不活性化

論文タイトル
Stepwise deactivation of gibberellins during rice internode elongation
論文タイトル(訳)
イネの節間伸長におけるジベレリンの段階的不活性化
DOI
10.1073/pnas.2415835122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.23
著者名(敬称略)
石田俊晃 増口潔 山口信次郎 他
所属
京都大学化学研究所農学研究科・応用生命科学専攻
著者からのひと言
イネにおいて成長ホルモンの「ジベレリン」は、2段階で働きが弱められることが分かりました。つまり、働きが弱いホルモンがまずできて、次にほとんど働かないホルモンに変換されます。働きが弱いホルモンは成長を微調整するために重要な役割を果たしていると考えられます。今回、ジベレリンの働きを弱める酵素の発見の起点となった草丈の高いイネは、病気に強く収量が多い「雑種のイネ」を作るために利用されています。ジベレリンによる草丈の調節は農業に重要なのです。

抄訳

植物ホルモンの一つであるジベレリン(GA)は、葉や茎の伸長や種子の発芽を促進するといった働きを持ち、「緑の革命」と呼ばれる農業革命に利用されるなど、農業にも非常に重要な植物ホルモンである。本研究では、イネにおいて最上位節間が徒長するeui2変異体の原因遺伝子がコードするEUI2タンパク質が、これまで不活性型GAだと考えられていたエポキシ型GAをさらに加水分解して、ジヒドロキシ型GAへと変換することを示した。また、イネの穂を用いた生理活性試験やGID1受容体との結合試験の結果から、ジヒドロキシ型GAはエポキシ型GAよりも、さらに活性が弱いGAであることが明らかとなった。すなわち、イネの最上位節間伸長の厳密な制御には、活性型GAからエポキシ型GAまでの不活性化では不十分であり、EUI2によるエポキシ型GAからジヒドロキシ型GAへのさらなる不活性化が重要な役割を果たしていることが示された。

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