抄訳
SARS-CoV-2は動物由来のウイルスであり、多様な動物種に感染します。そのため、動物に感染したウイルスが変異を蓄積し、新たなパンデミックを引き起こす可能性が懸念されます。しかし、SARS-CoV-2がどの動物に感染するか、宿主への感染性を規定する因子は詳しく明らかにされていません。本研究では、10種の動物の受容体と10種のSARS-CoV-2変異株を用いて、多くの動物がSARS-CoV-2感染を許容する一方、マウスだけが変異株によって感染感受性が異なることを明らかにしました。また、マウスの感染性を規定する宿主受容体とウイルススパイクタンパク質のアミノ酸を同定しました。これらを応用し、SARS-CoV-2がマウス近縁種に感染することを発見し、げっ歯類に広く感染する可能性を見出しました。本研究はSARS-CoV-2の宿主指向性の理解に繋がり、動物由来の変異株の監視に知見をもたらすことが期待されます。