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2025/06/13

SARS-CoV-2への感染を規定するマウスACE2の因子の同定

論文タイトル
Determinants of susceptibility to SARS-CoV-2 infection in murine ACE2
論文タイトル(訳)
SARS-CoV-2への感染を規定するマウスACE2の因子の同定
DOI
10.1128/jvi.00543-25
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
Journal of Virology Ahead of Print
著者名(敬称略)
福原 崇介 他
所属
九州大学大学院医学研究院 ウイルス学分野
著者からのひと言
 本論文は新型コロナウイルスの種指向性に関する論文です。新型コロナウイルスが出現した頃、マウスには感染性がなく、ハムスターが動物モデルとして広く用いられましたが、新型コロナウイルスがマウスに感染性を持たなかったことが偶然で、むしろ幅広い動物に感染性を示すということを明らかにしました。新型コロナウイルスに関するウイルス学的性状にはまだ不明な点は多く、今後も基礎ウイルス学的研究を推進してまいります。

抄訳

SARS-CoV-2は動物由来のウイルスであり、多様な動物種に感染します。そのため、動物に感染したウイルスが変異を蓄積し、新たなパンデミックを引き起こす可能性が懸念されます。しかし、SARS-CoV-2がどの動物に感染するか、宿主への感染性を規定する因子は詳しく明らかにされていません。本研究では、10種の動物の受容体と10種のSARS-CoV-2変異株を用いて、多くの動物がSARS-CoV-2感染を許容する一方、マウスだけが変異株によって感染感受性が異なることを明らかにしました。また、マウスの感染性を規定する宿主受容体とウイルススパイクタンパク質のアミノ酸を同定しました。これらを応用し、SARS-CoV-2がマウス近縁種に感染することを発見し、げっ歯類に広く感染する可能性を見出しました。本研究はSARS-CoV-2の宿主指向性の理解に繋がり、動物由来の変異株の監視に知見をもたらすことが期待されます。

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