抄訳
社会性昆虫では、なぜ同じ親から生まれた子の一部が羽アリになり、他は働きアリになるのか、その仕組みには多くの謎が残っていました。本研究では、シロアリにおいて「父親(王)の年齢」が子の将来のカースト運命を左右することを初めて明らかにしました。若い王から生まれた子は羽アリになりやすく、年老いた王の子はワーカーになりやすいことが分かりました。この違いはDNA配列の変化ではなく、精子に蓄積されたDNAメチル化というエピジェネティックな化学修飾によって引き起こされていました。本研究は、昆虫における父親の年齢が次世代の社会的運命にまで影響を及ぼすことを示した、初の直接的な証拠です。