抄訳
本研究では岩手県で行われている大迫研究のデータを用い、ブドウ糖負荷試験の結果を含むさまざまな検査結果の中で死亡リスクと相関するものの探索を行った。その結果、さまざまな検査結果の中で、糖負荷試験での糖負荷後1時間血糖値が死亡と強く相関することを見出した。そこで、糖負荷試験の結果を元に正常と診断された方だけを抽出して糖負荷後1時間血糖値をどの値で区切った時に死亡と最も関連するのかを調べたところ、糖負荷後1時間血糖値を170 mg/dlで区切った際に、死亡と最も強く相関することがわかった。この結果を元に糖負荷試験負荷後1時間血糖値が170 mg/dl未満群と170 mg/dl以上群で生存の経過を解析したところ、生存に顕著な差が認められ、さらに、糖負荷後1時間血糖値が170 mg/dl以上群では心血管疾患や悪性腫瘍による死亡が顕著に多いことが示された。本研究の結果から、糖負荷試験負荷後1時間値は正常耐糖能者において心血管疾患や悪性腫瘍による死亡を予測することが明らかになった。