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2025/07/17

発達中および成熟したシロイヌナズナ種子における胚乳細胞層の顕微鏡解析のための無傷組織の調整法

論文タイトル
Preparation of Intact Tissue for Microscopic Analysis of the Endosperm Cell Layer in Developing and Mature Arabidopsis Seeds
論文タイトル(訳)
発達中および成熟したシロイヌナズナ種子における胚乳細胞層の顕微鏡解析のための無傷組織の調整法
DOI
10.3791/68217-v
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (219), e68217
著者名(敬称略)
瀬田 京介 吉本 光希 他
所属
明治大学 農学部生命科学科 環境応答生物学研究室
著者からのひと言
これまで困難とされてきたシロイヌナズナ種子の胚乳細胞層の高解像度ライブイメージングに成功しました。種子の発芽メカニズムを理解するには、胚だけでなく、胚乳細胞層の生理機能にも注目することが重要です。本論文で報告した手法により、種子発芽制御の理解が一層深まると考えられます。本手法は、種子発芽研究における基礎的な科学技術の一つとして広く普及することが期待されます。さらに将来的には、本手法が種子発芽促進技術の開発に貢献し、飢餓のない持続可能な社会の実現に寄与することが期待されます。

抄訳

モデル植物シロイヌナズナの種子において、胚と種皮の間に位置する胚乳細胞層は、種子の成熟や発芽の制御に重要な役割を担っています。その生理機能を分子・細胞レベルで理解するには、顕微鏡による高解像度観察が不可欠です。しかし、胚乳細胞層は種皮の内側に存在し、種子自体も非常に小さいため、組織や細胞を傷つけることなく観察可能な状態で調製するのは困難でした。本論文では、発達中および成熟種子における胚乳細胞層を顕微鏡で観察するためのサンプル調整法を詳述しています。この手法では、固定や切片作製を必要とせず、標準的な実験器具(注射針、精密ピンセット、実体顕微鏡など)を用いるだけで、生きた胚乳細胞を多数観察することが可能です。本手法により、胚乳細胞層の細胞および分子レベルでの研究が一層進展し、その新たな機能の解明に寄与することが期待されます。

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