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2025/07/22

膀胱感染の重要因子である尿路病原性大腸菌イノシン-5’一リン酸デヒドロゲナーゼGuaBの役割

論文タイトル
Role of GuaB, the inosine-5′-monophosphate dehydrogenase of uropathogenic Escherichia coli pathogenicity: a key factor for bladder infection
論文タイトル(訳)
膀胱感染の重要因子である尿路病原性大腸菌イノシン-5’一リン酸デヒドロゲナーゼGuaBの役割
DOI
10.1128/spectrum.00221-25
ジャーナル名
Microbiology Spectrum
巻号
Microbiology Spectrum Ahead of Print
著者名(敬称略)
下川 瑞起、平川 秀忠 他
所属
国立大学法人群馬大学 医学部医学科
著者からのひと言
尿路感染症(UTI)は、私たちにとって身近な感染症であり、全世界で年間1億人以上が罹患している。UTIの主な原因菌である尿路病原性大腸菌(UPEC)は、再発しやすく、抗菌薬の繰り返し使用によって2000年以降、薬剤耐性菌の増加が急速に進んでいます。そのため、UPECに対する新たな治療法の開発が求められています。本研究では、UPECの新たな病原因子「GuaB」を同定しました。既存の抗菌薬とは異なる作用機序を持つ新規治療標的として、薬剤耐性菌への対策に期待されます。

抄訳

本研究は、尿路感染症(UTI)の主要な原因菌である尿路病原性大腸菌(UPEC)の膀胱感染における新規病原因子の探索を目的とした。近年、様々な抗菌薬に対する耐性菌が増加しており、本菌に対する治療法の改善が求められている。本研究では、UTIマウスモデルを用いて感染時に有意に発現する蛋白質をプロテオーム解析により同定を行った。その結果、グアニル酸合成に関与するGuaB(イノシン-5′一リン酸デヒドロゲナーゼ)が膀胱感染に重要であることを発見した。GuaB欠損株は尿中での増殖と膀胱定着能が著しく低下し、尿の主要成分である尿素によってGuaB発現が促進することも明らかにした。以上の結果は、GuaBがUPEC感染の新たな治療標的となりうる可能性を示唆しており、UPEC病原性のさらなる理解と治療薬開発に貢献するものである。

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