本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2026/02/24

DYRK阻害によるインクレチン産生細胞新生と糖尿病新規治療戦略

論文タイトル
A DYRK inhibitor ameliorates glucose homeostasis and increases incretin-producing cells in diabetic mice
論文タイトル(訳)
DYRK阻害によるインクレチン産生細胞新生と糖尿病新規治療戦略
DOI
10.1530/JME-25-0214
ジャーナル名
Journal of Molecular Endocrinology
巻号
Journal of Molecular Endocrinology JME-25-0214
著者名(敬称略)
寺崎 道重 他
所属
昭和医科大学医学部 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科学部門
著者からのひと言
本研究は、カロリンスカ研究所やハーバード大学等との国際共同研究により、インクレチン産生細胞を「新生」させるという新たな糖尿病治療概念を立証したものです。分子メカニズムの解明からヒト小腸幹細胞由来オルガノイドを用いた実証まで、多角的な検証を重ねてまいりました。基礎から臨床へのトランスレーショナルリサーチとなる本知見が、細胞再生を基盤とする糖尿病治療のパラダイムシフトを担うことを願っております。

抄訳

現在の糖尿病治療は、血中インクレチン濃度の維持や受容体刺激による作用増強が主流であるが、本研究では、インクレチン産生細胞そのものを新生させる新規糖尿病治療戦略を提唱する。我々は、DYRK阻害が糖尿病マウスの糖代謝を改善させることを報告した。OGTTおよびipGTTの比較、ならびに血清Total-GIP/Total-GLP-1、インスリン濃度の上昇により、その代謝改善効果を重層的に実証した。メカニズム解析では、DYRK阻害がNFATc4とGIP/GLP-1の共発現細胞数を有意に増加させることを見出した。これらの細胞はEdU陰性であり、既存細胞の増殖ではなく、NFATc4の核内移行を介した分化誘導による「新生」であることを解明した。さらにヒト小腸幹細胞由来オルガノイドを用いた検証においてもインクレチン遺伝子の発現増強を確認し、本効果は種を超えて保存されていることを示した。本研究の成果は、内因性インクレチンの産生源を直接的に増強する次世代の糖尿病治療法開発に繋がる可能性を示唆するものである。

論文掲載ページへ