抄訳
肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae complex)は、尿路感染症や血流感染症などの原因となる日和見病原体である。肝膿瘍や眼内炎など重篤な感染症を引き起こす高病原性株や抗菌薬耐性を示す株も存在し、注意が必要とされる。本研究ではこれらの臨床的重要性の高い株の感染源に関する情報を蓄積するため、日本の市中における 肺炎桿菌の保有状況を調査した。その結果、これらの細菌の保菌率は58.7%と腸内に一般的に存在しており、その全体的な遺伝子型分布は、これまでの臨床分離株の研究で報告されたものとおおむね類似していた。一方、薬耐性株や高病原性株も確認されたが、それぞれ全体の1%未満とその頻度は低かった。これらの知見は、多くの人が肺炎桿菌を常在菌として保菌する一方で、より臨床的重要性の高い型の肺炎桿菌は主に医療環境で拡散している可能性が高いことを示唆している。