抄訳
枯草菌ECFシグマ因子sigXのグルコースによる発現誘導(GI)の阻害因子としてefp変異を同定した。伸長因子P (EF-P)は全生物に保存されており、タンパク質のXPPX配列におけるリボソーム停止を緩和する。efp変異体でのproteome変化を明らかにするため、iTRAQ解析を実施した。翻訳への影響を評価するには、mRNAあたりのタンパク質量を決定する必要があるから、RNA-seq実験も行った。iTRAQでは2187タンパク質を検出し、XPPXモチーフを含む84タンパク質の翻訳量減少を観察した。その結果efp変異による主要シグマ因子SigA とRNAPサブユニットRpoBとRpoCの減少をWestern解析やiTRAQで観察した。すなわち、RNAPコアをめぐる各シグマ因子の競争に変化が起こり、sigXのGIも影響されたと考えられる。さらに、鞭毛構成成分FliYとMotBの減少は運動性を欠損させ、チオレドキシンTrxAの減少は耐熱性を喪失させた。また、マンガン輸送体MntGの減少は低温下での成長に必要なマンガンの要求量を変化させた。この論文でefp変異によるトランスクリプトームとプロテオーム間の複雑な相互作用に光を当てた。