本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2026/03/13

表現型解析とマルチオミクス解析が明らかにした伸長因子Pの枯草菌生理機能における多面的な役割 

論文タイトル
Pleiotropic roles of elongation factor P in Bacillus subtilis physiology revealed by phenotypic and multi-omics analyses
論文タイトル(訳)
表現型解析とマルチオミクス解析が明らかにした伸長因子Pの枯草菌生理機能における多面的な役割 
DOI
10.1128/spectrum.03142-25
ジャーナル名
Microbiology Spectrum
巻号
Microbiology Spectrum Ahead of Print
著者名(敬称略)
小倉 光雄 他
所属
東海大学 海洋研究所
著者からのひと言
TranscriptomeとProteomeは、直感的には大体一致するものと思われてきたが、本研究では、検出された遺伝子とタンパク質の量的変化はかなり異なっていた。つまり、転写制御はもちろん第一義的に重要だが翻訳水準でもかなりの制御が行われていることがわかる。もちろんその解析はこれからの点が多いのだろうが、本研究のような網羅的、枚挙的な研究がその一助になれば良いと思う。

抄訳

枯草菌ECFシグマ因子sigXのグルコースによる発現誘導(GI)の阻害因子としてefp変異を同定した。伸長因子P (EF-P)は全生物に保存されており、タンパク質のXPPX配列におけるリボソーム停止を緩和する。efp変異体でのproteome変化を明らかにするため、iTRAQ解析を実施した。翻訳への影響を評価するには、mRNAあたりのタンパク質量を決定する必要があるから、RNA-seq実験も行った。iTRAQでは2187タンパク質を検出し、XPPXモチーフを含む84タンパク質の翻訳量減少を観察した。その結果efp変異による主要シグマ因子SigA とRNAPサブユニットRpoBとRpoCの減少をWestern解析やiTRAQで観察した。すなわち、RNAPコアをめぐる各シグマ因子の競争に変化が起こり、sigXのGIも影響されたと考えられる。さらに、鞭毛構成成分FliYとMotBの減少は運動性を欠損させ、チオレドキシンTrxAの減少は耐熱性を喪失させた。また、マンガン輸送体MntGの減少は低温下での成長に必要なマンガンの要求量を変化させた。この論文でefp変異によるトランスクリプトームとプロテオーム間の複雑な相互作用に光を当てた。

論文掲載ページへ