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2026/03/16

卵巣未分化胚細胞腫における、腫瘍内ガス像を伴う急性腹症の1例

論文タイトル
Dysgerminoma of the ovary presenting as acute abdomen with intratumoural gas image: a diagnostic challenge suspected as a gastrointestinal stromal tumour
論文タイトル(訳)
卵巣未分化胚細胞腫における、腫瘍内ガス像を伴う急性腹症の1例
DOI
10.1136/bcr-2025-270400
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Volume 19, Issue 3
著者名(敬称略)
吉田 志歩、 豊島 将文 他
所属
日本医科大学付属病院 女性診療科・産科
著者からのひと言
「腫瘍内のガス像」という、通常は消化管穿孔や感染を疑う極めて稀な所見を示した卵巣未分化胚細胞腫の症例報告である。一見、消化管疾患(GIST)と誤認しそうな画像所見が、実は茎捻転による血管内ガスの捕捉であったというメカニズムの考察は極めて示唆に富む。画像診断の落とし穴と、若年女性の急性腹症における迅速な外科的介入の重要性を再認識させる、教訓的な一報と言える。

抄訳

20代女性が急激な左下腹部痛と嘔吐で救急搬送された。身体所見で臍レベルまで達する硬い腫瘤を認め、血液検査ではLDHやALPの上昇、腫瘍マーカーであるCA125およびCA19-9の高値が確認された。AFPやhCGは正常範囲であった。造影CTでは腫瘍内に複数の線状ガス像が認められ、消化管間質腫瘍や膿瘍との鑑別が困難であったが、造影効果の欠如から卵巣茎捻転も疑われた。緊急手術の結果、360度捻転しうっ血した左卵巣腫瘍を確認し、病理検査にて卵巣未分化胚細胞腫と確定診断された。本例のガス像は、茎捻転による血管内ガスが、本腫瘍特有の構造である線維血管性隔壁に捕捉された結果であると考えられた。CTから約13時間後のMRIではガス像が消失していたことから、この現象が虚血に関連した一過性の現象と推測された。画像上、消化管疾患を疑う所見があっても、若年女性の急性腹症では卵巣腫瘍の茎捻転を念頭に置くべきである。

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