抄訳
20代女性が急激な左下腹部痛と嘔吐で救急搬送された。身体所見で臍レベルまで達する硬い腫瘤を認め、血液検査ではLDHやALPの上昇、腫瘍マーカーであるCA125およびCA19-9の高値が確認された。AFPやhCGは正常範囲であった。造影CTでは腫瘍内に複数の線状ガス像が認められ、消化管間質腫瘍や膿瘍との鑑別が困難であったが、造影効果の欠如から卵巣茎捻転も疑われた。緊急手術の結果、360度捻転しうっ血した左卵巣腫瘍を確認し、病理検査にて卵巣未分化胚細胞腫と確定診断された。本例のガス像は、茎捻転による血管内ガスが、本腫瘍特有の構造である線維血管性隔壁に捕捉された結果であると考えられた。CTから約13時間後のMRIではガス像が消失していたことから、この現象が虚血に関連した一過性の現象と推測された。画像上、消化管疾患を疑う所見があっても、若年女性の急性腹症では卵巣腫瘍の茎捻転を念頭に置くべきである。