抄訳
植物ホルモンであるオーキシン(インドール酢酸、IAA)は、根や穂の形成など作物の成長と収量を左右する重要な因子である。本研究では、イネにおいてIAAのアミノ酸結合体に糖を付加する酵素IAAspGTを同定し、オーキシン代謝に新たな分岐経路が存在することを明らかにした。IAAはアミノ酸結合後に酸化反応により不可逆的に不活性化されるが、本酵素はアミノ酸結合体を酸化される前にN-グルコシル化することで、再利用可能な安定な代謝プールへと変換する機能を持つ。さらに、この酵素活性には品種間差が存在し、高活性型対立遺伝子は低栄養条件下での根系発達や穂への同化産物配分に影響を与えることが示された。本成果は、オーキシン代謝の新たな制御機構を提示するとともに、環境適応性や肥料利用効率に優れた作物育種への応用可能性を示すものである。