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2026/05/01

ベトナムにおけるブタ由来G4P[6]ロタウイルス株のヒトへの頻回な種間伝播に寄与する要因:分子疫学的解析からの知見

論文タイトル
Factors contributing to the frequent interspecies transmission of G4P[6] Rotavirus alphagastroenteritidis
strains from pigs to humans in Vietnam: molecular epidemiological insights
論文タイトル(訳)
ベトナムにおけるブタ由来G4P[6]ロタウイルス株のヒトへの頻回な種間伝播に寄与する要因:分子疫学的解析からの知見
DOI
10.1099/mgen.0.001685
ジャーナル名
Microbial Genomics
巻号
Volume 12, Issue 4
著者名(敬称略)
金子 美穂 他
所属
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 感染分子解析学分野
著者からのひと言
ロタウイルスA(RVA)は、小児における重症胃腸炎の主要な原因の一つであり、動物由来株のヒトへの種間伝播が報告されている。本研究では、ヒトとブタの双方で検出されるP[6]遺伝子型VP4に着目した。P[6]のアミノ酸特性と宿主糖鎖との相互作用との関連を示した点は、ウイルスの宿主適応機構の理解に重要な示唆を与える。また、動物由来株が比較的高頻度でヒトへ種間伝播しているにもかかわらず、持続的なヒト-ヒト間伝播には至っていないことから、ヒト宿主への適応には追加的な遺伝的要因が必要である可能性が示された。本研究の成果は、動物由来ロタウイルスの進化およびヒト適応機構の理解を深めるとともに、感染対策やワクチン開発に向けた基盤的知見を提供する。

抄訳

アジアの一部地域では、ブタ由来ロタウイルス(RVA)、特にG4P[6]株がヒトから比較的高頻度で検出されている。本研究では、ベトナム小児から検出されたG4P[6]株の起源と高頻度検出の要因を分子疫学的に解析した。2年間に収集したRVA陽性糞便1,252検体中28検体(2.2%)がG4P[6]株単独感染に起因し、23株の全ゲノム解析により、いずれもヒトRVAとのリアソートメントを伴わないブタ由来株と確認された。一部のG4P[6]株に全ゲノムが一致するクラスターが認められ、限定的なヒト-ヒト間伝播の可能性が示唆された一方、多くの株は遺伝的に異なっており、ブタからヒトへの複数回の独立した種間伝播が推測された。さらに系統解析から、本研究株を含むブタ様RVAのP[6]は典型的ヒトRVAのP[6]とは遺伝的に異なり、それぞれのP[6]株の検出頻度には地理的差異が認められた。加えて、アミノ酸配列解析によりブタ様P[6]に特徴的な残基が同定され、一部は既知のヒト細胞表面糖鎖への結合部位に対応していた。以上より、本事例は持続的なヒト-ヒト間伝播株の出現ではなく、頻回な種間伝播に起因すると考えられ、ブタ様P[6]のアミノ酸特性が種間伝播を促進し得る可能性が示された。

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