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2026/05/07

ケモカイン受容体CCR7におけるバイアスシグナル伝達の構造的知見

論文タイトル
Structural insights into biased signaling at chemokine receptor CCR7
論文タイトル(訳)
ケモカイン受容体CCR7におけるバイアスシグナル伝達の構造的知見
DOI
10.1073/pnas.2533975123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.18 e2533975123
著者名(敬称略)
田中 康太郎 堤 尚孝 他
所属
東京科学大学 総合研究院 細胞構造生理学研究室(CeSPL)
著者からのひと言
同一の受容体に結合するリガンドが、いかにして異なる細胞内反応を引き起こすのか。本研究は、この謎に対し、クライオ電子顕微鏡を用いた立体構造解析、計算機シミュレーション、薬理解析を組み合わせて迫ったものである。静的な構造だけでなく、受容体の動的な振る舞いまで捉えた本成果が、副作用を抑え必要な薬効だけを引き出す画期的な創薬へと繋がることを期待している。

抄訳

GPCRの一種であるケモカイン受容体CCR7は、免疫細胞の遊走を制御し、適応免疫応答やがんのリンパ節転移において重要な役割を担う。CCR7の内因性リガンドである2種類のケモカイン(CCL19およびCCL21)は、同一受容体に結合するにもかかわらず、細胞内のシグナル経路を異なるバランスで活性化する「バイアスシグナル伝達」を引き起こすが、その構造的メカニズムは未解明であった。
本研究では、各リガンドが結合したCCR7がGタンパク質を活性化する様子をクライオ電子顕微鏡により高分解能で可視化した。この構造を基に、計算機シミュレーションで受容体の動的な構造変化を解析し、薬理解析と組み合わせることで、リガンドの結合様式の差異が受容体に異なる構造変化を誘起し、シグナル分子を選択的に活性化する精緻な仕組みを解明した。本成果は、副作用を低減し目的の薬効のみを誘導する、次世代の免疫疾患治療薬や抗がん剤の開発基盤となることが期待される。

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