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2026/05/13

進化情報に基づく抽出戦略により見出されたHSV-1 UL7の組織特異的リン酸化スイッチ

論文タイトル
Evolution-guided prioritization identifies a tissue-specific phosphorylation switch on herpes simplex virus 1 UL7 regulating viral replication and pathogenicity
論文タイトル(訳)
進化情報に基づく抽出戦略により見出されたHSV-1 UL7の組織特異的リン酸化スイッチ
DOI
10.1128/jvi.00200-26
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
Journal of Virology Ahead of Print
著者名(敬称略)
加藤 哲久 川口 寧 他
所属
東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 ウイルス病態制御分野
著者からのひと言
オミクス解析の進展により、生物学は“データ不足”から“候補過剰”の時代へ移行しつつある。本研究は、Simplexvirus属における進化的保存性を利用することで、膨大なHSV-1リン酸化情報から機能的重要性の高い修飾部位を効率的に抽出できる可能性を示した。進化情報とリン酸化プロテオーム情報を統合する本アプローチは、ビッグデータ時代における効率的な生命機能探索戦略として発展することが期待される。

抄訳

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)タンパク質には多数のリン酸化部位が同定されているが、その大部分の機能的意義は不明なままである。本研究では、リン酸化プロテオーム情報とSimplexvirus属におけるアミノ酸保存性を統合した抽出戦略を構築し、機能的重要性が高いリン酸化部位の同定を試みた。その結果、UL7 Tyr-89に着目し解析を行ったところ、リン酸化模倣変異はUL7欠損変異と類似して、ウイルス粒子形成、培養細胞での増殖、さらにマウス中枢神経系および眼における病原性を低下させた。一方、非リン酸化変異は培養細胞や眼では大きな影響を示さず、中枢神経系でのみHSV-1増殖と病原性を低下させた。これらの知見より、UL7 Tyr-89リン酸化は組織特異的にUL7機能を微調整する抑制性スイッチとして働くことが示唆された。本研究で採用した進化情報に基づく抽出戦略は、HSV-1タンパク質における機能的リン酸化部位の効率的な同定に寄与することが期待される。

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